【医師が解説】AGA治療薬の種類と効果:内服薬・外用薬・注入治療まで徹底比較
「最近、抜け毛が増えた気がする」「生え際が後退してきたかもしれない」と感じている方は、AGA(男性型脱毛症)のサインかもしれません。
AGAは進行性の症状のため、早期に適切な治療を開始することが何よりも重要です。治療が早ければ早いほど、効果を実感しやすく、治療期間を抑えられる可能性も高まります。
AGA(男性型脱毛症)の治療薬は、大きく分けて「進行を止める薬」「発毛を促す薬」「補助的に栄養や成長因子を与える薬」の3つに分類できます。
代表的な薬には、フィナステリドやデュタステリドといった「進行を止める」タイプ、ミノキシジルといった「発毛促進」タイプがあります。
さらに、注入治療などを併用することで治療効果を高めることも可能です。
どの薬を選ぶかは、薄毛の進行度・年齢・副作用への耐性によって異なります。重要なのは、「いま何を目的にするか」を明確にしてから選ぶことです。ご自身の症状に合った最適な治療薬を見つけるためには、専門医による診断が不可欠です。
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監修:山本周平(「KOBE美容皮膚科 西宮院」責任医師)紹介 | |
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![]() | KOBE美容皮膚科 西宮院 責任医師 山本周平医師 病院勤務・大手美容クリニック勤務を経て、KOBE美容皮膚科西宮院を開院。 患者様のご希望の改善点をしっかり傾聴し、施術の提案から、得られる効果、ダウンタイムの症状、起こり得るリスクや痛みに至るまで、細やかに説明することを大切にしている。 また、本来必要のない施術は提案せず、最善と思われる施術のみを提案。 患者の無駄な負担を避け、美容医療を通して、患者様に笑顔になっていただくことを第一としている。 |
所属・資格等 (一部) | 日本美容皮膚科学会正会員 日本美容外科学会正会員 日本抗加齢医学会正会員 日本内科学会正会員 日本医師会認定産業医 |
公式サイト | KOBE美容皮膚科 |
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当院の女性の薄毛治療についてはこちらをご覧ください。
AGA治療薬の基本:なぜ薬が効くのか?
AGAの原因と治療アプローチ
AGAは、男性ホルモン(テストステロン)が「5αリダクターゼ」という酵素の作用でDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、これが毛根に悪影響を与えることで進行します。このメカニズムにより、毛が細く・短くなり、最終的には抜けていくのが特徴です。
AGA治療では、このDHTの生成を抑制することが最も基本的な戦略です。そのため、5αリダクターゼ阻害薬が第一選択薬として用いられています。
治療薬の作用機序(DHT・ヘアサイクル)
AGA治療薬には、大きく分けて2つの作用機序があります。
① DHTの産生を抑えること
② ヘアサイクルの「成長期」を延長し、新たに発毛を促す
AGA治療薬がDHTの産生を抑えることにより毛包が攻撃されなくなり、抜け毛の進行が止まります。
ミノキシジルなどの治療薬は、ヘアサイクルの「成長期」を延長し、新たに発毛を促す働きが期待でき、血管拡張作用によって毛母細胞の活動を活発にすることで発毛を促します。
この2つを組み合わせることで、AGA治療の効果は大きく高まります。
代表的なAGA治療薬の種類と効果一覧
フィナステリド(商品名:プロペシアなど)|進行を止める
引用:AGAスキンクリニック
フィナステリドは、AGA治療において最も広く用いられている内服薬の一つです。
項目 | 内容 |
---|---|
作用 | DHT生成の抑制(5αリダクターゼII型酵素) |
効果 | 抜け毛抑制(進行ストップ) |
推奨度 | A(強く推奨) |
副作用 | 性欲減退、勃起不全など(1〜2%) |
▼作用機序と期待できる効果
フィナステリドは、5αリダクターゼII型の働きを抑制し、AGAの主な原因物質であるDHTの生成をブロックする内服薬です。効果は「抜け毛の抑制」がメインで、発毛自体の効果は限定的です。日本皮膚科学会のガイドラインでは「推奨度A」とされ、初期治療として処方されることが多いです。
▼効果実感までの期間と服用方法
この薬の効果は、服用開始から3ヶ月から半年ほどで実感されることが多いとされています。服用方法は1日1回1錠を水またはぬるま湯で服用するのが一般的です。毎日同じタイミングで服用することで習慣化しやすくなります。食前・食後を問わず服用可能ですが、飲み忘れがないよう注意が必要です。また、飲み忘れた場合でも、一度に2回分を服用することは避けるべきです。
▼ジェネリック医薬品について
フィナステリドは、プロペシア錠のジェネリック医薬品として広く利用されています。ジェネリック医薬品は、先発薬と同等の作用や副作用を持つ一方で、費用を抑えて治療を継続できるという利点があります。ジェネリック医薬品の選択は、AGA治療にかかる費用を抑える上で非常に有効です。
▼注意点
フィナステリドは、女性や未成年者の服用が厳しく禁止されています。特に妊娠中の女性が服用すると、男子胎児の生殖器発達に影響を及ぼす可能性があるため、錠剤に触れることさえも避けるべきとされています。
>> フィナステリドの副作用と対策については、こちらのコラムで詳しく解説しています
デュタステリド(商品名:ザガーロなど)|進行抑制+やや発毛効果も
引用:AGAスキンクリニック
デュタステリドもフィナステリドと同様にDHTの生成を抑制する薬剤ですが、その作用機序はより広範です。
項目 | 内容 |
---|---|
作用 | DHT生成の抑制(5αリダクターゼI型・II型両方) |
効果 | 抜け毛抑制+発毛効果(軽度) |
推奨度 | A(強く推奨) |
副作用 | 性機能系、乳房の違和感など |
▼作用機序と期待できる効果
デュタステリドは、5αリダクターゼのI型とII型の両方を阻害するため、フィナステリドよりも強力にDHTの生成を抑制すると考えられています。そのため、特に頭頂部の薄毛に対して効果が高いとされています。発毛効果も一定数報告されており、「抜け毛を止めながら、少し増やしたい」という目的に合っています。日本皮膚科学会のガイドラインでは「推奨度A」とされています。
▼効果実感までの期間と服用方法
効果実感までの期間は個人差がありますが、早い人では2〜3ヶ月で変化を感じることもありますが、半年から1年程度かかる場合もあります。服用は1日1回1錠を毎日行うことが重要で、毎日同じ時間帯に服用することで効果の安定性が保たれます。過剰な服用は副作用のリスクを高める可能性があるため、必ず医師の指示に従い、用法・用量を守ることが不可欠です。
▼注意点
デュタステリドもフィナステリドと同様に、女性や未成年者の服用は禁止されています。高齢者の場合、成分の代謝や排泄が遅延することで副作用の発生率が高まる可能性があるため、処方には十分な注意が必要です。
>> デュタステリドの副作用と対策については、こちらのコラムで詳しく解説しています
ミノキシジル|発毛促進に特化(内服・外用)
ミノキシジルは、他の2つの薬剤とは異なる作用機序を持つ発毛促進剤です。
種類 | 使用範囲 | 効果 | 副作用 |
---|---|---|---|
外用薬 | 頭皮(塗布) | 発毛促進(限定的) | かゆみ、発疹 |
内服薬 | 全身への効果あり | 高い発毛効果 | 動悸、多毛症、むくみ |
▼作用機序と期待できる効果
ミノキシジルは、元々高血圧の治療薬として使われていた成分で、血管拡張作用により頭皮の血流を促進し、毛母細胞を活性化させることで、発毛効果が期待されます。
▼効果実感までの期間と使用方法
効果実感までの期間には個人差がありますが、早ければ6ヶ月程度で効果を実感できるとされています。
外用薬(塗り薬):1日2回、1回1mlを目安に薄毛が気になる頭皮に直接塗布します。この際、髪の毛ではなく頭皮に塗ることが重要であり、液だれを防ぎ、成分が適切に浸透するようにします。多量に塗布しても効果が上がることはなく、むしろ副作用のリスクを高める可能性があるため、定められた用法・用量を厳守する必要があります。
内服薬(飲み薬):外用薬よりも強力な発毛効果が期待される一方で、全身に作用するため、体毛の増加などの副作用リスクが高まる可能性があります。日本では未承認薬であるため、使用には慎重な判断が必要です。
▼初期脱毛について
ミノキシジル服用開始後には一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が見られることがありますが、これは薬が作用している証拠であり、治療が順調に進んでいる兆候と捉えられます。内服された方のうち、8割くらいの方が自覚されるとされており、気にせずに内服を続けることが重要です。
>> ミノキシジルの副作用と対策については、こちらのコラムで詳しく解説しています
外用ミノキシジルの効果と限界
外用ミノキシジル(リアップなど)は、育毛剤として広く知られており、市販でも購入可能な数少ない治療薬の一つです。主に血流改善によって発毛を促しますが、効果は限定的であり、単独での使用では進行抑制には不十分です。
また、塗布忘れや皮膚トラブルにより継続性が課題となるケースもあります。軽度〜中等度のAGA、または他の内服薬との併用が推奨されます。
その他の治療法:注入治療など
薬物療法以外にも、より積極的な治療法として注入治療があります。
メソセラピーやHARG治療の効果と位置づけ
メソセラピーやHARG療法は、成長因子や栄養成分を頭皮に直接注入する治療法です。これらの治療は「薬を飲みたくない」方や、副作用リスクを避けたい方に検討されることがありますが、科学的な根拠に乏しい点や高額な費用がデメリットです。発毛促進というよりも「補助的治療」としての位置づけで考えるべきです。
>> 注入治療の費用相場については、こちらのコラムで詳細をご確認いただけます。
AGA治療薬の併用療法とサプリメント
AGA治療では、単一の薬剤だけでなく、複数の薬剤を併用することでより高い効果を目指すことがあります。
併用療法の効果
特に、ミノキシジルとフィナステリドまたはデュタステリドの併用は一般的です。フィナステリドやデュタステリドが抜け毛の抑制に作用するのに対し、ミノキシジルは発毛を促進するため、この組み合わせは抜け毛の抑制と発毛促進の双方に相乗効果が期待できるとされています。
ミノキシジル外用薬を頭皮に塗布し、フィナステリドやデュタステリドを内服するケースは、AGA治療の基本的な組み合わせとしてよく見られます。
併用禁忌
一方で、フィナステリドとデュタステリドの併用は、健康リスクが増加する可能性があるため禁忌とされています。これらの薬剤は同じDHT抑制の作用機序を持つため、併用しても効果の増強は期待できず、副作用のリスクのみが高まる可能性があります。
サプリメントの役割
サプリメントは、AGA治療薬の補助的な役割として利用されることがあります。ノコギリヤシエキスなどがAGAの原因物質であるDHTの生成に関わる酵素(5αリダクターゼ)の働きを阻害する可能性が指摘されていますが、その効果にはまだ科学的な根拠が十分でないものも多く、治療薬ほどの効果は期待できないことを理解しておく必要があります。
タンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、鉄分、亜鉛、ビオチンなどは、髪の健康維持や頭皮環境改善に寄与する成分として知られています。これらはあくまで栄養補助食品であり、医師の処方する治療薬の代わりにはなりません。
治療薬の選び方と副作用の考え方
年齢・薄毛の進行度による選び方
AGA治療は、個人の薄毛の進行度、体質、健康状態によって最適な治療薬やその組み合わせが異なります。
① 20代で進行初期の場合:フィナステリドまたはデュタステリド単独からスタート
② 30代以上や進行度が強い場合:ミノキシジル外用または内服を併用
③ 薬が合わない・事情があり薬を避けたい場合:補完手段としての注入治療
20代で進行初期の場合には、まずはフィナステリドまたはデュタステリド単独からスタートするのが一般的です。医師の説明をしっかりと聞いて、不明点を解消した上で治療を始めましょう。
30代以上や進行度が強い場合には、ミノキシジル外用または内服を併用することで効果を高めます。
注入治療は、薬が合わない人や特別な事情がある場合の補完手段と考えるのが自然です。
副作用と安全性の比較
AGA治療薬は高い効果が期待できる一方で、他の医薬品と同様に副作用のリスクを伴います。これらの副作用について正しい知識を持つことは、治療を安全かつ効果的に継続するために不可欠です。
薬剤 | 主な副作用 | 対応策 |
---|---|---|
フィナステリド | 性欲減退、勃起障害 | 中止で回復する例が多い |
デュタステリド | 同上+乳房違和感 | 長期使用には医師の管理が必須 |
ミノキシジル外用 | かゆみ、赤み | 濃度を調整することで改善可 |
ミノキシジル内服 | 動悸、むくみ、多毛症 | 未承認のため慎重な使用が前提 |
副作用の兆候を感じた場合、最も重要なのは自己判断で薬の服用を中断したり、量を調整したりしないことです。速やかに担当医に相談し、薬の量や種類を見直すことが不可欠です。
>> AGA治療薬の副作用と対策については、こちらのコラムでさらに詳しく解説しています。
よくあるQ&A|AGA治療薬の効果と選び方に関する疑問
Q:効果が出るまでどれくらいかかる?
AGA治療薬は、すぐに効果が出るわけではありません。一般的には、3ヶ月程度で抜け毛の減少を実感し始め、6ヶ月〜1年で見た目の変化が現れることが多いです。ヘアサイクルに基づく変化であるため、焦らず継続することが重要です。特にミノキシジル服用開始後には一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が見られることがありますが、これは薬が作用している証拠であり、心配する必要はありません。
Q:ずっと飲み続ける必要がある?
AGAは慢性的に進行するため、治療薬をやめると再びDHTの影響が現れ、抜け毛が進行します。つまり「治療中止=リバウンド」となるリスクが高く、長期的な継続が前提です。副作用を理由に中止する場合も、医師と相談のうえ代替治療を検討することが推奨されます。
Q:効果が弱い人は何をすべき?
効果が出にくい場合、いくつかの原因が考えられます。薬が体質に合わない、塗布や服用のタイミングが不適切、生活習慣(睡眠・喫煙など)が乱れている、などです。ミノキシジル内服などへの切り替えや、複数の治療法を組み合わせることで改善が期待できることもあります。
まとめ:自分に合ったAGA治療薬を選ぶには
AGA治療薬にはそれぞれ役割があり、進行を止める薬と、発毛を促す薬の両方をバランスよく選ぶことがカギとなります。年齢や進行度、副作用への耐性など個別の要因によって最適な治療法は変わるため、まずは専門の医師に相談し、自分に合った治療プランを立てることが第一歩です。
AGA治療にかかる費用相場については、こちらのコラムで詳細をご確認いただけます。
オンラインで手軽に治療を始めたい方は、AGAオンライン診療のメリット・デメリットも参考にしてください。
薬物治療で効果が得られない場合の選択肢として、植毛治療についてもこちらのコラムで解説しています。
ご自身の症状に合った最適な治療薬を見つけるためには、専門医による診断が不可欠です。札幌で信頼できるAGAクリニックを見つけるための情報は、こちらのページで詳しくご紹介しています。
主要AGA治療薬比較表
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薬剤名 | 主な作用機序 | 期待できる効果 | 効果実感までの期間(目安) | 服用/使用方法 | 注意点・特記事項 |
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フィナステリド(プロペシア) | 5αリダクターゼII型阻害 | 抜け毛抑制、ヘアサイクル正常化 | 3〜6ヶ月 | 1日1回1錠内服 | 女性・未成年は服用不可 |
デュタステリド(ザガーロ) | 5αリダクターゼI型・II型阻害 | 抜け毛抑制(より広範) | 2〜12ヶ月 | 1日1回1錠内服 | 女性・未成年は服用不可 |
ミノキシジル外用薬 | 血管拡張、毛母細胞活性化 | 発毛促進 | 6ヶ月程度 | 1日2回1mlを頭皮に塗布 | 頭皮の炎症・かゆみ、多毛症 |
ミノキシジル内服薬 | 血管拡張、毛母細胞活性化 | 発毛促進(より強力) | 6ヶ月程度 | 医師の指示に従う | 全身の多毛症、動悸、めまい、むくみなど |

記事監修医師プロフィール
KOBE美容皮膚科 西宮院
周平先生
国立神戸大学医学部卒業
製鉄記念広畑病院勤務(形成外科・皮膚科・内科)
湘南美容クリニック勤務(美容外科・美容皮膚科)
神戸朝日病院(皮膚科・内科)
複数の美容クリニックにて勤務、院長を歴任(美容外科・美容皮膚科)
2019年8月〜西宮SHUHEI美容クリニック 責任医師
2023年2月〜KOBE美容皮膚科 責任医師