【医師監修】植毛はAGA治療の最終手段?種類・費用・向いている人を徹底解説
AGA(男性型脱毛症)の治療を検討されている方の中には、薬物療法では十分な効果が得られないと感じる方や、より根本的な薄毛の改善を求める方もいらっしゃるでしょう。そうした方々にとって、植毛治療は有効な選択肢の一つとなります。
【結論】植毛はAGA治療の選択肢のひとつですが、万人向けではありません。
植毛は、薬では改善が難しい重度のAGA(男性型脱毛症)に対する治療法の一つです。自分の後頭部などの健康な毛根を薄毛部位に移植するため、「定着すれば一生抜けない」という大きなメリットがあります。
ただし、費用が高額で、手術に伴うリスクやダウンタイムもあるため、すべての人に最適とは限りません。薬物治療との違いや併用の可能性も含めて、自分にとってのベストな選択を検討することが大切です。
本コラムでは、AGA治療における植毛について、その種類、費用相場、手術方法、術後のダウンタイムとケア、そしてメリット・デメリットを詳細に解説します。
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監修:山本周平(「KOBE美容皮膚科 西宮院」責任医師)紹介 | |
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![]() | KOBE美容皮膚科 西宮院 責任医師 山本周平医師 病院勤務・大手美容クリニック勤務を経て、KOBE美容皮膚科西宮院を開院。 患者様のご希望の改善点をしつかり傾聴し、施術の提案から、得られる効果、ダウンタイムの症状、起こり得るリスクや痛みに至るまで、細やかに説明することを大切にしている。 また、本来必要のない施術は提案せず、最善と思われる施術のみを提案。 患者の無駄な負担を避け、美容医療を通して、患者様に笑顔になっていただくことを第一としている。 |
所属・資格等 (一部) | 日本美容皮膚科学会正会員 日本美容外科学会正会員 日本抗加齢医学会正会員 日本内科学会正会員 日本医師会認定産業医 |
公式サイト | KOBE美容皮膚科 |
SNS | インスタグラム |
当院の女性の薄毛治療についてはこちらをご覧ください。
植毛とは?AGAとの関係と種類
植毛は、薄毛が気になる部位に髪の毛を移植する治療法です。主に自分の毛髪を移植する「自毛植毛」が一般的であり、他人の髪を使うことはありません。
AGAは、DHT(ジヒドロテストステロン)の影響で、前頭部や頭頂部の毛が細く短くなっていきます。しかし、後頭部の毛根はDHTの影響を受けにくいため、そこから採取して移植することで、薄毛部位でも安定した発毛が期待できます。
自毛植毛には主に二つの手術方法があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の希望や状況に合った方法を選ぶことが重要です。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
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FUE法 | 切らずに毛根を1本ずつ採取 | ・傷跡が目立ちにくい(点状) ・術後の痛みが少ない傾向がある ・刈り上げずに採取する手法もある | ・採取量に限界がある ・手術時間がかかる ・FUT法より費用が高くなる傾向がある |
FUT法 | 頭皮ごと帯状に切り取り毛根を採取 | ・一度に大量の毛を移植可能 ・FUE法に比べて費用を抑えられる傾向がある | ・傷跡が線状に残ることがある ・抜糸が必要な場合がある |
自毛植毛以外に「人工毛植毛」もありますが、これは人工的に作られた髪の毛を頭皮に植え込む方法です。ドナー部の制限がないというメリットがある一方で、拒絶反応や感染症のリスク、定期的なメンテナンスが必要となるデメリットがあります。
現時点では、自毛植毛が主流であり、より安全で自然な結果が期待できるとされています。
3. 植毛とAGA内服薬・外用薬の違い
植毛は、薬物療法とは異なるアプローチで薄毛を改善します。それぞれの治療法には役割があり、組み合わせて考えることが重要です。
治療法 | 主な効果 | 向いている人 | 維持のために必要なこと |
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フィナステリド・デュタステリド | 抜け毛の進行抑制 | 軽度〜中度のAGA | 継続服用が必須 |
ミノキシジル外用/内服 | 発毛促進 | 中度〜広範囲のAGA | 体質により効果に差 |
植毛(自毛植毛) | 見た目の回復(発毛の再建) | 薬が効きづらい・毛根が失われた人 | 術後のケアとDHT抑制薬の併用 |
植毛で移植された毛は定着すれば半永久的に生え続けますが、「残っている既存毛」に対してはAGAが進行する可能性があります。そのため、植毛後もフィナステリドなどの進行抑制薬を並行して使うことが推奨されます。
AGA治療薬の種類と効果について、さらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
AGA治療に伴う副作用と対策について不安な方は、こちらの専門コラムをご覧ください。
植毛の費用相場と治療スケジュール
植毛治療は、AGA治療の中でも高額な部類に入りますが、その効果は半永久的である点が大きな特徴です。費用は移植するグラフト数や選択する手術方法、クリニックによって大きく異なります。
植毛の費用目安
内容 | 相場(目安) | 補足 |
---|---|---|
初診・診察料 | 0〜5,000円程度 | カウンセリング無料のところも多いです。 |
1,000株(目安:M字orつむじ) | 50万〜100万円 | 移植する株数によって総額が変動します。 |
2,000株以上(広範囲) | 100万〜200万円 | 頭部全体のボリュームアップを目的とする場合に該当します。 |
術後のケア・診察費 | 5,000〜10,000円/回 | 術後1〜2ヶ月に1回程度の通院が必要となる場合があります。 |
植毛手術自体は日帰りが一般的ですが、定着までに数ヶ月を要し、一時的な脱毛(ショックロス)が起こることもあります。定着率は医師の技術や体質によっても変わるため、実績のあるクリニックを選ぶことが重要です。
AGA治療にかかる費用相場について、さらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムで詳細をご確認いただけます。
植毛後のダウンタイムと術後ケア
植毛手術は外科的処置であるため、術後のダウンタイムと適切なケアが成功に不可欠です。術後の過ごし方と注意点をしっかり守ることで、生着率を高め、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。
植毛のダウンタイム期間の目安
期間 | 頭皮の状態とケアの目安 |
---|---|
手術当日〜1週間程度 | 痛みのピークは手術当日ですが、その後も頭皮の赤み、腫れ、むくみ、軽い出血、かさぶたの形成が気になる時期です。 指示に従いガーゼ交換を行い、強い衝撃や大声での会話などは避けましょう。 |
2週間後 | 見た目の赤みやかさぶたが落ち着き始め、日常生活に戻りやすくなります。 接客業など人と対面する仕事への復帰もこの頃から検討されることがあります。 |
1ヶ月後 | ほとんどの患者で通常の生活が可能になります。 この頃から「ショックロス」と呼ばれる一時的な脱毛が見られることがあります。 |
3〜6ヶ月後 | 移植された髪の毛の生着や成長を実感しやすくなる時期です。 |
術後1週間の過ごし方と注意点
植毛の術後1週間は、下記のような過ごし方・注意点があります。
▼手術直後
移植部に強い衝撃を与えないよう、細心の注意が必要です。寝る際は、枕に触れないよう工夫するなど、クリニックの指示に従いましょう。
▼洗髪
術後数日間は洗髪方法が制限されます。低刺激のシャンプーを使用し、患部に直接シャワーを強く当てず、泡を優しくのせるように洗うことが重要です。かさぶたは無理に剥がさず、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。
▼飲酒・喫煙
血行に悪影響を及ぼす可能性があるため、少なくとも術後1〜2週間は控えることが強く推奨されます。飲酒は血流を促進し、出血のリスクを高める可能性があります。喫煙は血管を収縮させ、血流を阻害することで生着率に悪影響を与えることがあります。
▼帽子やヘルメットの着用
術後2〜3日間はなるべく避け、圧迫が強いヘッドギアは術後1週間以上控えるべきです。通気性の良い清潔なものを選びましょう。
▼日焼け・紫外線
術後2週間程度はできるだけ避け、帽子や日傘を使う場合は締め付けを考慮しましょう。紫外線は頭皮にダメージを与え、色素沈着の原因となることもあります。
起こりうる症状
痛み、出血、腫れ、むくみ、かさぶた、かゆみ、炎症などが挙げられます。これらの症状が長引く場合や、異常を感じた場合は、速やかに担当医に相談することが重要です。
植毛手術は外科的処置であるため、術後の回復期間やケアに対する不安は大きいものです。術後の適切なケアを怠ると、生着率の低下や合併症のリスクが高まる可能性があります。
患者が安心して回復期間を過ごせるよう、クリニックの具体的なサポート体制が不可欠です。
植毛に向いている人・向かない人
植毛は、薄毛の悩みを解決する強力な手段ですが、すべての人に最適な治療法というわけではありません。自身が植毛に向いているかどうかの目安にしてください。
向いている人 | 向いていない人 |
---|---|
・AGAの進行が強く、薬では改善しにくい人 ・M字や頭頂部が明らかに地肌化している人 ・長期的に見た目の回復を望む人 ・薬物治療で効果が得られない人 | ・軽度のAGAで薬で十分コントロールできる人 ・ストレス性・円形脱毛症など他原因の脱毛症の人 ・手術やダウンタイムに抵抗がある人 ・費用が高額な点に懸念がある人 |
植毛治療のメリット・デメリット
植毛治療は薄毛の悩みを解決する強力な手段ですが、その特性を理解した上で検討することが重要です。
メリット | デメリット |
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半永久的に生え続ける | 初期費用が高い(数十万〜数百万円) |
自分の髪を使うため自然な仕上がりになる | AGAの進行自体は止められない |
生着率が高い (90%以上の例も多い) | ドナー部(後頭部など)に限りがある |
日帰り手術が可能 | 状況によっては複数回の手術が必要になることも |
維持コストがほとんどかからない | |
薬による副作用の心配が少ない | |
拒絶反応がほとんどない |
メリット
▼半永久的な効果と自然な仕上がり
移植された毛髪は、元の後頭部や側頭部の特性を維持するため、AGAの影響を受けにくく、一度生着すれば半永久的に生え続けます。また、自身の毛髪を使用するため、非常に自然な仕上がりが期待できます。
▼高い生着率
多くのクリニックで90%以上の高い生着率が報告されており、手術の成功率が高い治療法です。
▼日帰り手術
ほとんどの植毛手術は日帰りで行うことが可能です。入院の必要がないため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
▼維持コストがほとんどかからない
一度生着すれば、その後の維持コスト(薬代や定期的なメンテナンス費用など)がほとんどかからないという経済的な利点があります。
▼薬による副作用の心配がない
自分の毛髪を移植するため、薬物治療のような薬による全身性の副作用の心配がありません。
▼拒絶反応がほとんどない
ご自身の毛髪を使用するため、異物に対する拒絶反応もほとんどありません。
デメリット
▼初期費用が高額
植毛は高額な治療であり、初期費用が最大のデメリットと言えます。費用に見合った効果が得られるか、慎重な検討が必要です。
▼AGAの進行自体は止められない
植毛は薄毛の進行した部分に髪を増やす治療ですが、AGAの進行自体を止めるものではありません。既存の毛髪がAGAによってさらに薄くなる可能性があるため、植毛後もAGAの進行を抑えるために薬物治療(内服薬など)を併用するケースがあることを理解しておく必要があります。
▼ドナー部の制限と一時的な脱毛
毛髪を採取した部位(ドナー部)の毛髪が一時的に薄くなる可能性や、採取できる毛根数に限りがあるため、移植できる範囲には限界があります。
▼複数回の手術が必要になる場合
広範囲な薄毛の改善や、将来的なAGAの進行により、複数回の手術が必要になる場合もあります。
よくあるQ&A|植毛とAGA治療について
Q:植毛すればAGA治療は終わり?
いいえ。植毛で改善されるのは「移植した毛」のみです。AGAの原因であるDHTの影響は残っているため、今ある髪を守るにはフィナステリドなどの薬を継続する必要があります。植毛後もAGA治療は「並走する」ものと考えておくとよいでしょう。
Q:定着しないことはある?
稀ですがあります。体質や術後ケア、医師の技術によって定着率は異なります。ショックロスと呼ばれる一時的な脱毛も起こるため、3〜6ヶ月は様子を見る必要があります。経験豊富な医師のもとで施術を受けることで、定着率の向上が期待されます。
Q:植毛と薬の併用はできる?
むしろ併用が望ましいです。植毛した部分を守るというより、「植毛していない部分」の進行を防ぐ意味で、DHT抑制薬は重要な位置づけになります。特に全体的に薄毛が進行している方には併用が推奨されます。
植毛方法比較と費用目安
植毛方法 | 手術方法の概要 | メリット | デメリット | 1グラフトあたりの費用目安 | 総額費用目安(400-600グラフト) |
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FUT法 | 後頭部から帯状に頭皮を採取し、毛包を分離・移植 | 一度に多くの移植が可能、FUEより安価 | 線状の傷跡が残る可能性、抜糸が必要な場合あり | 約990円〜1,500円 | 約40万円〜60万円 |
FUE法 | 専用パンチで毛包を一つずつ採取・移植 | 傷跡が目立ちにくい(点状)、術後の痛みが少ない | FUTより高価、一度に採取できる数に限り | 約1,650円〜2,500円 | 約60万円〜100万円 |
まとめ:植毛治療で理想の髪を取り戻す
植毛治療は、薬物療法では難しかった薄毛の悩みを根本的に解決し、自然な見た目を取り戻すための強力な選択肢です。
高額な初期費用やダウンタイム、術後のケアなど、考慮すべき点はありますが、その効果は半永久的であり、長期的な満足度に繋がる可能性があります。
ご自身の症状や予算、希望を明確にし、信頼できる専門医と相談しながら、ご自身に最適な治療プランを見つけることが、理想の髪を取り戻すための第一歩となります。
AGA治療薬の種類と効果について、さらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
AGA治療にかかる費用相場については、こちらのコラムで詳細をご確認いただけます。
AGA治療に伴う副作用と対策について不安な方は、こちらの専門コラムをご覧ください。
オンラインで手軽に治療を始めたい方は、AGAオンライン診療のメリット・デメリットも参考にしてください。
ご自身の症状に合った最適な治療薬を見つけるためには、専門医による診断が不可欠です。札幌で信頼できるAGAクリニックを見つけるための情報は、こちらのページで詳しくご紹介しています。

記事監修医師プロフィール
KOBE美容皮膚科 西宮院
周平先生
国立神戸大学医学部卒業
製鉄記念広畑病院勤務(形成外科・皮膚科・内科)
湘南美容クリニック勤務(美容外科・美容皮膚科)
神戸朝日病院(皮膚科・内科)
複数の美容クリニックにて勤務、院長を歴任(美容外科・美容皮膚科)
2019年8月〜西宮SHUHEI美容クリニック 責任医師
2023年2月〜KOBE美容皮膚科 責任医師